HISAKOの美容通信2015年11月号
ホルモン補充療法の効果を上げる栄養療法(サプリメント)
単なるアンチエイジング(抗加齢)以外にも、更年期障害や、副腎疲労、甲状腺機能低下等による肥満(体重増加)や疲れ易い、鬱、イライラ、不眠、記憶力の低下、やる気の低下、Hまで面倒臭い!等々の様々な不定愁訴に対し、ホルモン補充療法は行われています。
しかし、十分過ぎる量のホルモン剤を投与したからと言って、必ずしも、検査値がしっかり目標値まで上がり、症状が改善されるとは限りません。
人間の体は、そんな単純なものではないんです。
ホルモンは単体で働くのではなく、様々なホルモンがまるで蜘蛛の巣の様に張り巡らされ、お互いに作用しながら、効果を発揮しており、その反応を恙無く行う為の補因子がしっかりなければ話にもなりません。
ホルモン補充療法の効率を上げる為の栄養療法~サプリメントについて解説します。
患者さんに良く言うんですけど、栄養素は人民で、人民の代表者が都道府県の首長たる知事であるホルモン。甲状腺のホルモンだとか、女性ホルモンだとか、男性ホルモンだとか、抗ストレスホルモン(DHEA)だとか、色々いますよね。知事さん達は勝手気ままに働けるかというと…、実社会では「ねぇ」なんて事も多々あります(笑)が、基本、お互い連携を取り合いながら、神の意志ならぬ、安倍ちゃんの号令の元、日本国の発展の為って大義名分の大枠の中で、人民に号令を下し、働かせます。実際働くのは人民です。つまり、ロクな人民しかいなければ、その代表者である知事は当然ロクでもなくなるし、又、幾らホルモン剤と言う優秀な知事を海外から助っ人として迎えても、人民が寝たきり老人状態では、笛吹けど踊らずどころか、笛吹けど踊れず(笑)。「人民の人民による人民のための政治」。リンカーンは実にホルモン補充療法の神髄を理解しておられる!
あっ、付録で、ちょこっと神である安倍ちゃん(=腸管)の話も載せときました。別に、皮肉ってる訳じゃないんですけど…。
ホルモン補充療法は、最大のアンチエイジングの方法だが…。
ホルモンが減少するので老化をするのであって、老化をしたからホルモンが減少するのではない。
…老化による諸症状、肥満だとか、抜け毛だとか、不眠だとか、集中力の低下とか、記憶力の低下とか、肌のハリが減る、乾燥する(目も、皮膚も、膣も、口の中も!)、疲れる、イライラ、鬱、寒がり、免疫力低下、感染症、筋力低下、骨粗鬆症、関節痛、動脈硬化、性欲減退、ED等々の、決定的ではないにしろ、人生を送る上であまり楽しくない様々な症状、これ等を改善する為に、つまり人生のクオリティを上げる為に行うのがホルモン補充療法であり、最大のアンチエイジング(抗加齢)の一つとも言えます。
しかしながら、ホルモン補充療法をしていて、何時も悩ましいと思うのは、十分過ぎるホルモン量を加えても中々検査値が望むように上がってくれない患者さんが結構います。だからと言って、ホルモンの投与量を闇雲に上げてみたところで、良い結果は、当たり前だけど、出ない(笑)。そんな時は、ホルモンの代謝をサポートしてくれる栄養素がちゃんとあるかって、原点に立ち戻って考える必要があります。ホルモンって名前の指揮官が幾らいたって、その命令に従って働く働き蟻ならぬ平の兵士(栄養素)がいなきゃ話にならないし、海軍と陸軍と空軍と海兵隊と…夫々の連携なしに、勝手に指令を出してたって効率は上がりません。間を取り持つ調整役の兵士(栄養素)だって必要です。
何時ものお馴染みのホルモンカスケード反応の図です。
何処にどんな助っ人が必要なのかを、次章以下で具体的に考えて行こうと思います。勿論、善人面して足を引っ張る輩についても(笑)。
ホルモン補充療法に於いて、併せて補因子の補充が行われないと、上記のホルモンの代謝経路がきちんと進まず、結果的に効果が上手く出ません。頭の片隅に置きながら、以下を読み進めて下さいませ。
エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れる
エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れて、相対的にエストロゲン優位の状態、例えエストロゲンの分泌量が変わらなくても(増えてなくても!)、プロゲステロンの分泌量が下がれば、当然エストロゲン優位の際の症状が出現しますし、逆もまた起こり得ます。如何に崩れてしまったバランスを整えるかが大事なお話で、無闇矢鱈にホルモン補充量を上げれば良いって代物じゃありません(美容通信2015年7月号)。
エストロゲン優位/エストロゲン欠乏
エストロゲンの効果効能は以前にも何度か触れている(美容通信2010年8月号)(美容通信2010年12月号)(美容通信2011年10月号)ので、ここで又記載するのも”たるい”(←寒いお土地柄、口数を減らしたい≒エネルギーの消耗を減らしたい?と、ついつい省略形言語に走る(笑)北海道人のHISAKO。「かったるい」の「かっ」を端折ちゃっただけの、極々地元では一般的に使われる方言ですが、やっぱりスタッフの誰ひとり通じなかった…)ので省略。
エストロゲン優位症候群
エストロゲン優位症候群の症状としては、下記の症状が挙げられます。これは、プロゲステロン欠乏の際に生じる症状とほぼ一致します。
- 子宮頸部異形成・子宮癌のリスク増大・子宮筋腫・重く不順な月経
- 乳房の膨脹と圧痛・乳腺線維嚢胞・乳癌のリスク増大
- 不安又は動揺を伴う鬱・気分のムラ・パニック発作
- 疲労
- 甲状腺機能低下症状
- 甘い物への渇望!
- 体重増加(腹部・臀部・大腿部)
- 水分貯留
- 頭痛
- 不良睡眠 etc.
エストロゲン優位症候群の原因としては、色んなものが考えられます。①エストロゲンの過剰摂取、②エストロゲンの排出障害(美容通信2015年7月号)、③運動不足、④16-OH Estrone上昇(美容通信2010年8月号)、⑤環境エストロゲン、⑥穀類及び繊維不足の食生活(美容通信2010年1月号)。特に、仲でも最近注目株なのが、外因性(異種)エストロゲン(美容通信2015年9月号)の存在です。コンビニのプラスチックのスプーンだとか、殺虫剤、焦げ付き防止加工のフライパン、ドライクリーニング、化粧品、脱臭剤等々…。私達の便利で快適な生活の助っ人として生活に密着したこれ等の製品は、外因性エストロゲンとして、私達の本来のエストロゲンホルモンが欠乏すべき受容体にベタ~ンと強力に結合し、本来のエストロゲンとの結合を阻害するので、当たり前ですが、本来のエストロゲンとは異なる強力な作用を呈します。
乳癌に対するホルモン性危険因子を下記に纏めておきます。実に様々な要因が関わっているのが分ると思います。
エストロゲン欠乏
エストロゲンが相対的に欠乏状態にあると、優位の際に生じた症状と全く逆の症状が出て来ます。
- 火照り・寝汗
- 睡眠障害
- 膣の乾燥や痒み・性交痛
- イースト菌感染症(例・カンジダ症)
- 頭痛
- 乾燥肌・皺
- 物忘れ・ぼんやりとした思考・持続性の疲労や鬱
- 心臓の動悸
- 骨量減少
- 繰り返す膀胱炎・尿失禁
- 月経不順、過少/無月経
- 性欲減退
- 乳房下垂や小さい乳房 etc.
*長期に亙るエストロゲンの欠乏は、不妊、早期老化、骨減少症、骨粗鬆症、心血管疾患、アルツハイマーを引き起こします!
エストロゲンだけでなくプロゲステロンもそうですが、激しい運動を長期に亙って続けてると、これらの性ホルモンを完全に使い果たしてしまう可能性があり、これが濃度を下げる原因になっている事もあります。又、強いストレスは、LH及びFSHの分泌を抑制し、その結果、エストロゲン及びプロゲステロンの分泌が減る可能性もあります。
プロゲステロン優位/プロゲステロン欠乏
プロゲステロン欠乏
エストロゲン優位の際の症状に極めて類似した症状を呈します。しかし、長期間に亙って(相対的に)プロゲステロンの欠乏した状態が続くと、乳癌や子宮内膜癌、卵巣嚢胞、不妊、妊娠中の問題、例えば流産のリスクがUPする等の嬉しくないオマケが付いて来る可能性があります。
原因としては、
- 産生障害
- 低LH
- プロラクチン産生の増加
- ストレス
- 抗鬱剤
- アルギニンの過剰摂取
天然に存在するアミノ酸で、条件付必須アミノ酸の1つです。外傷・褥瘡・感染などの侵襲下に於いては、充分な補給が望ましいとされています。免疫反応の活性化、細胞増殖促進し、コラーゲン生成促進等により、創傷や褥瘡の治癒を促してくれるからです。食物では、肉類、ナッツ、大豆、玄米、レーズン、エビ、牛乳等に多く含まれますが、更なる効果を期待するマニアの間では、精力系サプリメントとして絶大な人気を誇ってます。
- 糖分(美容通信2011年4月号)
- 飽和脂肪酸(参照:不飽和脂肪酸(美容通信2010年6月号))
心筋梗塞の友として有名な飽和脂肪酸(笑)。デンマークでは2011年10月1日から、脂肪税として、飽和脂肪酸が2.3%以上含まれる食品に対して、飽和脂肪酸1キログラムあたり16クローネを課税し、施行前には飽和脂肪酸の多い食品であるバターやピザ、肉、牛乳といった食品に買い込み需要が高まったんだそうです。ただぁ、飽和脂肪酸が心臓疾患の原因になるという確固たる証拠は見つかっておらず、因みに、2014年3月発行のアナルズ・オブ・インターナル・メディシンでは「飽和脂肪酸は心臓疾患の原因にはならない」という研究が発表されてます。
- Vit.A、B6、C、亜鉛の欠乏(←『補因子の補充の重要性』って図をもう一度見て!)
- 甲状腺ホルモンの減少
それ以外にも、HISAKOの様に、若い頃に子宮癌で子宮と卵巣を摘出してしまった!なんて患者さんは、世の中に結構いるとは思うけど、その場合のホルモン補充は、日本の保険制度では合成のホルモン製剤しかないので、どうしてもエストロゲンだけの投与しか行われないのが現状だからね。プロゲステロンが相対的に欠乏状態にならざる得ない。まあ、ここら辺の話は以前から何度もしてるので、もう一度美容通信を読み直してみてね(美容通信2012年4月号)(美容通信2010年12月号)(美容通信2010年8月号)(美容通信2010年9月号)。
プロゲステロン優位
時々、ネットで偏った知識をしこたま仕入れた患者さんから、「エストロゲンは悪い作用もあるから、補充はしたくありません。プロゲステロンの補充だけをして下さい(←キッパリ)」なんて注文を出される事がしばしばあります。そりゃあ、どちらかと言うとプロゲステロン優位の方がエストロゲン優位よりもマシっちゃマシですが(^_^;)、只、モノには限度ってもんがあります。適度なバランスを欠いた補充は望ましくありません。適切なエストロゲンの補充を行わずに、プロゲステロンだけを長期に補充し続けると、下記の様な嬉しくない症状に悩まされるぞ~っ!
- 体重が更に増えて、デブになる。
- 総コレステロール↑、HDL↓、LDL↑
- 中性脂肪(トリグリセリド)↑
- 鬱
- 疲労
- 性欲減退!
- インスリン抵抗性↑
繰り返しになりますが、ホルモン補充の際には、併せて補因子となるビタミン剤等の投与を行うとより効果的です。特に、Vit.Aは必須のお友達❤
エストロゲンの代謝が上手く出来ない
エストロゲンの代謝が上手く出来ないと、ホルモン依存性の癌の可能性がぐ~ンとUPします。それは、ホルモン補充療法をしようとしまいと、関係なくですが(笑)。詳しくは、美容通信(美容通信2015年9月号)を参考にしてね。
右図は、お馴染みのエストロゲンの代謝経路図です。
復習になりますが、エストロゲンの代謝産物には、2OHE1、4OHE1、16αOHE1があります。2OHE1(CYP1A1/1A2)は、The ”GOOD”。主要代謝産物で、量が多いと保護的側面が強くなり、エストロゲン優位の時は減少します。4OHE1(CYP1B1)は、The ”UGLY”…”TOXIC”かな。DNAの損傷の原因である発癌性有害キノンを生成するだけでなく、ROS(活性酸素種)を誘導し、DNA、脂質、蛋白質に悪影響を及ぼします。更に環境化学物質を活性化されるって言う、ホント、性悪な生き様が特徴的です。16αOHE1(CYP3A4)は、素直に、The ”BAD”(笑)。強力なエストロゲン様活性を有し、激しい増殖性を特徴とします。
良い子から悪い子まで~エストロゲンの代謝物達
2OHE1/16αOHE1比
重要な事は、エストロン(E1)は、チトクロム(CYP)1A1により、”GOOD”な2OHE1に転換されますが、CYP3A4が介在すると、”BAD”な16αOHE1に転換されちゃうって事です。つまり、2OHE1/16αOHE1比が低いと、具体的には2.0以下(特に、1.5)だと、それは即ち、乳癌や前立腺癌のリスクが高い事を意味し、ヤバいぞ!となる。反対に、2.8以上だと…、手放しに喜べるかというとそうでもなくて、骨粗鬆症とエストロゲン欠乏のリスクが上がってる事を意味します。まあ、物事、全てに程々が宜しいようで。
2OHE1/16αOHE1比をUPさせて、セーフティゾーンに逃げ込む為には、下記の事が推奨されています。
- 運動
- 痩せる
- 酒と煙草を絶つ…。
- アブラナ科植物の十分な摂取
因みに、HISAKOは、2OHE1/16αOHE1比が0.47! 完全にヤバい!ヤバい!焦る!焦る!;´Д`);´Д`);´Д`);´Д`) って事で、頼みの綱は、”バイタルデトックス60カプセル”♪ 体内の解毒機能を高め、肝臓の健康をサポートしてくれるダイエタリーサプリメント。ちょっとばかり補足しとくと、肝臓のPhaseⅠ及びⅡをサポートしてくれます。
バイタルデトックス60カプセル
[内容成分]
ビオチン・グルカル酸カルシウム・酒石酸水素コリン・ミルクシスル(マリアアザミ)エキス・シリビン・L-メチオニン・ターメリック・Nーアセチルシステイン・イノシトール・L-グリシン・DIMコンプレックス・αリポ酸 他
[作用機序]
Phase I デトックスサポート:
①ビオチンは、細胞増殖、脂肪代謝、及びエネルギー発生をサポートするビタミンです。
②コリン及びイノシトールは細胞膜では必須な栄養素です。シトクロムP450 酵素をサポートするには、肝細胞の膜が健康である必要があります。又、コリンとイノシトールは、肝臓での脂肪やコレステロールの代謝をサポートします。
③DIM (ジインドリルメタン) は、ブロッコリー、カリフラワー等のアブラナ科の野菜にあるの硫黄化合物です。DIM は、Phase I 及びPhase II の肝臓デトックスやエストロゲン代謝物のデトックスをサポートします。
Phase II デトックスサポート:
①グルカル酸カルシウムは、グルクロン酸化をサポートする緩衝化されたグルクロン酸です。グルクロン酸化プロセスは、真菌毒素、ステロイドホルモン及び体内に入り込んだ排気ガス等を体内からデトックスします。
- T3
- T3の存在は、CYP1A1/1A2亢進(=2OHE1↑)に働き、反対にCYP3A4抑制(=16αOHE1↓)に作用します。
- 環境化学物質の暴露、ω6脂肪酸過剰摂取によりCYP3A4が亢進(=16αOHE1↑)するのに対し、ω3脂肪酸(美容通信2010年6月号)を多く摂取すると、反対にCYP3A4抑制(=16αOHE1↓)に働く。つまり、肉より魚、それも養殖より天然物を喰えって事かぁ…またエンゲル係数が上がっちまう…。
4OHE1
そして、忘れちゃいけないのが、The ”UGLY”?”TOXIC”?と称される、性悪4OHE1。
外因性のエストロゲン類の他、プレマリンの様な馬エストロゲン製剤(←更年期障害の際に、治療で処方される事が多い合成ホルモン剤の代表格!)が4OHへの流れを促進しちゃう代表格ですが、実は煙草の煙も悪者! 煙草の煙に遭遇→エストロゲン代謝が変化→CYP1B1↑になるんだそうです。
捨てる神あれば、拾う神ありで、グレープフルーツと朝鮮人参は、CYP1B1を阻害してくれます❤
エストロゲンの代謝産物を無毒化する技
更なるセーフティネットの舞台は肝臓です。エストロン(E1)は、第一段階(フェーズⅠ)で、先ずは水酸化(シトクロムP450)され、上記のヒドロキシエストロン類(カテコールエストロゲン類)になります。その後、第二段階(フェーズⅡ)(抱合化)によって、つまりメチル化、硫酸化、グルクロン酸化により、更なる解毒過程を経て、無毒化されます。そして最後は、おしっこと一緒にさようなら♪ 排出されて終わりになります。
メチル化ですが、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)酵素によりメチル化され、エストロゲン性がなくなります(不活性化)。メチル化を順当に進める為には、当たり前だけど、メチルを供給してくれる人も、助っ人も必要です。具体的には、トリメチルグリシン(TMG)、べタイン、SAMe(S-アデノシルメチオニンメチルドナー)、ビタミンB6、B12、葉酸、マグネシウム等の補充になります。
グルクロン酸化を促進する為には、カルシウム D-グルカネート、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB6、B12、ω3脂肪酸等が必要です。
硫酸化には、システイン、メチオニン、タウリン、モリブデン等が必要です。
その他としては、抗酸化化物質。セレニウム、亜鉛、マグネシウム、グルタチオン、レスベラトロールがその代表格です。
テストステロン失調
大人女子で崩れるのは、エストロゲンやプロゲステロンの様な女性ホルモンだけではありません。男性ホルモン(テストステロン)も例外ではないのです。
女性編
テストステロンの分泌量が低下すると、女性でも下記の様な症状を呈します。詳しくは美容通信(美容通信2011年10月号)(美容通信2010年12月号)(美容通信2010年9月号)を読み直してね。
- 疲れがなかなか抜けない・なんか元気溌剌って感じがしない…そこはかとなく不元気というかぁ
- 自尊心の低下
- 意欲の減退・思考不明瞭・鬱・不安
- 記憶障害
- 性欲の減退
- 筋力低下・筋委縮
- 体重増加
- 弾力性に乏しい、乾燥して、薄い肌・たるみ
- 乾燥してパサパサの細い髪の毛
- 膣の乾燥
- 骨量減少
- 失禁
- 動悸 etc.
原因としては、加齢によるものの他、以下のものが考えられます。
- 出産
- 化学療法
- 副腎疲労(美容通信2015年4月号)
- 子宮内膜症
- 鬱
- 心理的トラウマ
- 経口避妊薬(美容通信2007年11月号)
- メバロチンを始めとする高脂血症の際に処方される、スタチン系のお薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬) etc.
治療としては、テストステロンの外用薬による投与は非常に良い方法ですが、栄養素やハーブを上手に併用する事で、効果が上がります。下のテストステロンの代謝を参照下さい。
男性編
オジ様の、所謂”男性更年期(障害)”に対する具体的な治療方法(美容通信2014年7月号)及びテストステロン補充の重要性(美容通信2015年6月号)については、詳しくは以前特集した美容通信を参照して下さいね。端的に言うと、男性更年期(障害)の治療の目的は健全なホルモンバランスの確保であり、その為の三本の柱となるのが、①エストロゲンの濃度を下げる、②精巣でのテストステロンの産生を増やす、③テストステロン補充です。
上図の様に、テストステロンは、DHTやエストラジオールに変換されます。
AGAの元凶として忌み嫌われるDHTですが、普通の人って表現もなんだかなぁと思わぬ訳でもないけど、まあ、平均的な人よりも、体毛が濃い毛深系?野獣系?の男子は、5αリダクターゼ値が高く(←遺伝子検査でバッチリ判る!(美容通信2008年9月号))、テストステロンからより多くのDHTが変換されます。ハゲの阻止が至上命令!って男子は、必死にアボルブ(美容通信2013年2月号)だとか、プロペシア(美容通信2005年12月号)と言った阻害薬を必死に服用します。しかし、一般的には、亜鉛50~60mg/日、ハーブ(ノコギリヤシ、ピジウム、ネトルルート)で、5αレダクターゼを減らします。
肥満児とか、男なのにやっぱブラが必要なおっぱいの持ち主とか、余計な体毛が無くて、スベスベで、ホント、何時までもナデナデしたくなっちゃう肌触りの宜しい男子❤は、アロマターゼが増加していて、テストステロンからエストラジオールへの変換が亢進しています。ですが、過度の飲酒やカフェイン飲料の多飲、肥満(アロマターゼは脂肪の中にいる!)、締め付け系の下着(特に、睾丸への圧迫が悪い!)なんかも、輪を掛けてエストラジオールを増やします。エストラジオールの値が上昇した場合は、速やかに悪い生活習慣を改め、痩せる(体重減少)。プロゲステロン100mg(→5αリダクターゼの阻害物質としても働き、前立腺癌のリスク回避にも優れ、こんな良いホルモン剤を女性にだけ独占させとくのは本来は勿体ない!と考えるべきなんだけど、時に、性的に淡白な…人畜無害な人になるかも。稀だけど…)の経口投与5~10mg/日、アナストロゾール(アリデミックス(美容通信2014年7月号))0.5mgを1~3回/週投与、亜鉛50~60mg/日の他、下記の様なアロマターゼ阻害効果のあるハーブ類を使用します。
- インドール3カルビノール(美容通信2015年9月号)
御存知、危険なエストロゲンを安全な形質に変えてくれる、米国国立がん研究所認証の化合物! キャベツや芽キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー等から見出された救世主化合物です。
- クリシン
経皮的に100~200mg/日の使用が推奨される。最も有効なアロマターゼ阻害物質との呼び名が高く、乳癌の薬としても使用されるアナストロゾール級との噂も、ある事にはある(笑)。トケイソウやチャボトケイソウ、ソリザヤノキで見られるフラボンの一種で、ヒラタケやハチの巣にも含まれるんだそうな。
- イソフラボン
ジアゼインやダイゼイン等の大豆ソフラボン。
DHEA/コルチゾール失調
DHEA欠乏
DHEA(美容通信2010年9月号)は、副腎によってその大部分が産生されますが、少量は脳や皮膚でも作られます。左図の通り、DHEAの産生は、前述のテストステロン同様、20歳代後半から徐々に擦り減って、70歳までには、若い頃の1/4になります。
低DHEAの原因としては、老化(更年期/男性更年期も含む)以外にもストレスや、喫煙(美容通信2008年7月号)(美容通信2006年10月号)が挙げられます。
DHEA の補充により、下記の様な様々な効果が期待出来ます。
- ストレスへの悪影響を止める
- 中性脂肪(トリグリセリド)↓
- インスリン感受性↑
- 関節痛↓
- 健康を実感❤
- 睡眠の改善
- 生活の質が上がる
- 免疫機能の活性化
- 筋力及び除脂肪体重をUPしてくれる♪
しかしながら、DHEA補充の最大の恩恵は、その抗ストレス作用にあるかも知れません。
他のホルモン連中との密接過ぎる関係
副腎疲労(美容通信2015年4月号)で、ストレスホルモンであるコルチゾールについて特集しましたが、コルチゾールは副腎で産生されます。このホルモンは、面白い事に(?)、年齢と共に体内で唯一増加するホルモンです。コルチゾール値は、ストレス、鬱、そして前述のプロゲステロンの多量摂取でも上昇します。
左図の通り、実はホルモンは単体で働くのではなく、様々なホルモンがまるで蜘蛛の巣の様に張り巡らされ、お互いに作用しながら、効果を発揮しています。
- コルチゾール↑⇒プロゲステロンの生成&活性↓
- コルチゾールは、プロゲステロンと共通受容体を奪い合う、ある意味競合関係にある。
- コルチゾール↑⇒甲状腺ホルモンの活性↓
- 女性に於けるエストラジオール(E2)↓は、体にとってストレス因子となる⇒ニューロトロフィン、セロトニン、ドーパミン、及びアセチルコリンの機能↓へ
- E2/プロゲステロン比;唾液検査 [黄体期]1:200 [卵胞期]1:80
- テストステロン/E2比;唾液検査 [若者]1:50 [爺]1:20以下
- 異常な比率を呈する場合は、PMT、火照り、更年期、男性更年期(美容通信2014年7月号)(美容通信2015年6月号)、副腎、甲状腺(美容通信2015年3月号)等に問題が…。
特に、脳みそとホルモンって視点で纏めてみると、実に様々な症状に、複数のホルモンや神経伝達物質の失調が関与しているのが分ります。
- 気分のムラ
セロトニン↓、甲状腺機能↓、GABA↓(←プロゲステロン↓)、ドーパミン↑、副腎機能↓
- 不眠症
副腎機能↓、セロトニン↓、GABA↓、ノルアドレナリン↑、アドレナリン↑、低血糖、コルチゾール↑
- 火照り
コルチゾール↑、セロトニン↓
- 疲労
甲状腺機能↓、グルタミン酸↓、副腎機能↓、ドーパミン↓、ノルアドレナリン↓、アドレナリン↓
- 不安
セロトニン↓、GABA↓、ノルアドレナリン↑、アドレナリン↑、グルタミン酸↑、コルチゾール↑
- 鬱
セロトニン↓、甲状腺機能↓、ビタミンD↓、ニューロトロフィン↓、グルタミン酸↑
- 痛み
セロトニン↓、ビタミンD↓、コルチゾール↓、ニューロトロフィン↑
- 意欲の欠如
セロトニン↓、ドーパミン↓
- 体重増加
甲状腺機能↓、コルチゾール↑、インスリン抵抗性
- 炭水化物への渇望!
セロトニン↓、インスリン抵抗性、ドーパミン↓
- 記憶障害及び集中力の低下
甲状腺機能↓、コルチゾール↓、ドーパミン↓、エンドルフィン↓、ノルアドレナリン↓、グルタミン酸↓
つまり、神経伝達物質はホルモンに影響し、ホルモンは神経伝達物質に影響する…。上図の如くに、持ちつ持たれつの、一蓮托生、べったり癒着関係(笑)。
補足までに、代表的な神経伝達物質の一般的な欠乏作用について纏めときますね。逆引きみたいなもんですが(笑)。
- セロトニン↓
悲観・鬱・心配・不安・自尊心の低下・強迫観念/行動
冬季鬱・PMS・短気・激怒・高温不耐性・パニック・恐怖症・自殺願望・午後または夜間の食欲・線維筋痛症
- メラトニン↓
夜更かし・入眠困難・不眠症・睡眠障害
- ドーパミン↓/ノルエピネフリン↓/アドレナリン↓
鬱・活力の欠如・やる気の欠如・カフェインやその他の興奮剤への渇望・集中力の欠如
- GABA↓
筋肉の凝りと緊張・ストレスを感じる・消耗する・くつろげない・打ちのめされる
- エンドルフィン↓
心理的又は肉体的な痛みに対して極めて敏感すぐビービー泣く・褒められたり、癒されたい欲求が強過ぎる・無感覚
唯…何はともあれ、材料は蛋白質なんだよなぁ。
実は、神経伝達物質、例えば、ドーパミンとか、セロトニンとか、カテコールアミン、ヒスタミン等々は、腸内細菌が9割方作るんですよ。ホルモン補充療法を効率良く進める為には、腸内環境(≒腸内細菌!)を如何に整えるか(美容通信2014年1月号)、そして原材料である蛋白質(アミノ酸)(美容通信2010年1月号)の投与が、物凄~く大事になるんです。
メラトニン失調
メラトニンも更年期障害の治療の際に、良く補充が行われるホルモンです。と言うか…、症状が極めて酷似しているだけでなく、お互い非常に密接な関係があるホルモンだからです。不眠症の特集(美容通信2015年8月号)でも触れましたが、メラトニンは松果体から分泌され、概日リズムを調節する働きがあり、睡眠を誘うホルモンです。気温やホルモン周期の為のリズムを整え、コルチゾールの過剰活性を鎮静化(美容通信2015年4月号)する作用があります。又、T4→T3への変換を促し、HCG及び甲状腺のホルモン(美容通信2015年3月号)の血清濃度を上げる作用があります。
メラトニンを増やす為のアドバイスは、以下の通り。
- セロトニンの生成にも利用されるトリプトファンが、メラトニンの出処。
上図を見て貰えば明らかな様に、蛋白質は何せ材料として重要なんです。出来れば、メインとなる食事は昼食に、夜は蛋白質を主体とした食事を少しだけ。大昔、中学の英語の時間に徳光先生(←あの徳光アナのお兄さんです)が、力説してたっけ。「dinner」は1日の主要な食事を意味してる単語だ。日本では晩飯が所謂ディナーってイメージだが、由緒正しい紳士の国であるイギリスでは、昼飯がそれに当たるから、昼飯が「dinner」なんだ。因みに、その後の夕方の残り物の軽食は、「tea」だと、言ってた気がする…。
- 血糖インデックス(美容通信2011年4月号)(美容通信2015年10月号)の高い炭水化物を多く摂り過ぎると、メラトニンの生成が下がちゃいます。
代わりにセロトニンの生成はUPするけどね。
- トリプトファンからメラトニンを変換するのに、ビタミンB6は必須!の補因子です。
睡眠を促進する神経伝達物質は、暗闇のホルモンと異名を持つメラトニンだけではなく、抑制性のアミノ酸であるGABAも忘れてはならない存在です。睡眠紡錘波の開始及び維持が、その使命です。
甲状腺機能低下
甲状腺機能低下(美容通信2015年3月号)を疑わせる所見と言えば、やっぱ起床時に於ける基礎体温の低下(美容通信2010年9月号)でしょう。35~60歳の女性の12.5%が、60歳以上の女性の15~20%は、無症状性甲状腺機能低下症に罹ってるなんて話ですしね。大人女子である以上、これは他人事では済まされません。
無症状性甲状腺機能低下症と副腎疲労(美容通信2015年4月号)は、完全に独立した病態ではなく、多くの症例では重複しており、両者の治療を並行して行わなければならないのが実情です。しかし、両者を比較すると、以下の様な特徴的な相違が認められます。
甲状腺機能低下症 | 副腎疲労 |
・一日中疲労 ・一日中平坦と言うか…さえないまんま ・糖分とカフェインが、大好き♪ |
・早朝と昼下がり、この時が特にキツイ ・午前中は気分が悪いが、午後6時以降になれば気分はそれでも最高潮❤ ・糖分とカフェインだけじゃなく、脂肪も蛋白質も、挙句、塩辛い味も大好き |
ストレスと甲状腺の関係を纏めておきます。
- ストレスの長期化は、コルチゾールとコルチコステロン合成が著しく上昇しても、又反対に欠損しても、起こる可能性があります。
- コルチゾールは、実は、甲状腺ホルモン受容体に対するT3の親和性に関わる重要なホルモンで、欠乏すると、受容体の活性は半分以下に激減してしまいます。
- 反対にコルチゾールの値が高いと、T4からT3への脱ヨウ素化が阻まれるだけでなく、下垂体に於ける甲状腺刺激ホルモン(TSH)の産生も減ってしまいます。
- 更に、踏んだり蹴ったりではありませんが、ストレスにより、末梢組織や循環血液中のT3は、自らの鏡像型であるrT3と言う不活性型へ変換され、結果、有効な活性のあるT3の量が減ってしまいます。
復習にもなりますが、活性のある甲状腺ホルモンは、トリヨードサイロニン(T3)です。T4もrT3も、不活性型です。T3の約20%は、甲状腺からダイレクトに産生されますが、残りの約80%は、肝臓やら腎臓、筋肉等の甲状腺以外の組織で、T4からの脱ヨード反応で産生されます。この際、5′-deiodinaseって酵素の存在が必要ですが、この酵素が十分に合成されないと、当たり前ですが、反応が恙無く進みません。deiodinase合成に影響する因子としては、以下の原因が考えられます。
- 亜鉛・セレンの不足
- ストレス
- 重金属(カドミウム、水銀、鉛等)毒性
- 今時と思わぬ訳でもないけど…飢餓
- 蛋白質摂取不足
- 高炭水化物食
- コルチゾール↑
- 慢性疾患
- 肝機能↓
- 腎機能↓
甲状腺サプリメントとして代表的な物を補足しときます。まあ、上図見て貰えば、ある意味、それで十分ちゃあ十分なんですが(笑)。
- 亜鉛
thyrotropin放出ホルモン(TRH)合成、T4→T3の変換に必要なだけでなく、甲状腺ホルモン及びその関連受容体が生物学的に機能する為に必要な栄養素。
- チロシン
甲状腺ホルモン合成の為の前駆体。幾ら笛(TSH)吹けど、踊ら(T4合成)ず。こんな状況は、蛋白質・熱量の不足と言った栄養障害によって、過度に引き起こされます。他にも、チロシンは認知能力やストレス改善にも働いてくれます。食べ物としては、チキン、ターキー、お魚さん、ピーナッツ、アーモンド、アボカド、チーズ、ミルク、ヨーグルト、カッテージチーズ、ライ豆、南瓜の種、バナナや大豆製品かな。
*註:HISAKOの美容通信に記載されている料金(消費税率等を含む)・施術内容等は、あくまでも発行日時点のものです。従って、諸事情により、料金(消費税率等を含む)・施術内容等が変更になっている場合があります。予め、御確認下さい。
※治療の内容によっては、国内未承認医薬品または医療機器を用いて施術を行います。治療に用いる医薬品および機器は当院医師の判断の元、個人輸入手続きを行ったものです。
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