アンチエイジング食情報 | 旭川皮フ形成外科クリニック

HISAKOの美容通信2021年6月号

アンチエイジング食情報

You are what you eat(あなたは、あなたが食べたものでできている)。アンチエイジングの基本は日常的によいものを食する事ですが、余りにも漠然としていて、何を、どう食べたら良いのか分かんない! そんな迷える子羊達への福音書になれば良いなって思って、糖質制限にまつわる素朴な疑問、糖化(AGEs)対策、ビタミンCとDビタミンD、そして海外ではヘルシー食材として注目の海藻についてまとめてみました。特に、ビタミンDは、新型コロナ感染症対策としても注目の栄養素です。

今月号は、<臨床に役立つアンチエイジング食情報>です。

糖質制限食にまつわる素朴な疑問

Q1.糖質を制限したら、その分脂肪を沢山食べるようになり、脂肪過剰摂取となる?

A1.それで、何か問題でも?

 脂肪過剰摂取になっても、特に問題は起こらないので、心配不要です。

 Seven Countries Study以来、脂肪(特に、飽和脂肪酸)摂取が慢性炎症を惹起して、それが心血管疾患や発癌に繋がるって仮説はありますが、脂質エネルギー比率を制限しても、動脈硬化性疾患を予防出来るって直接的なエビデンスはないんです。それどころか、脂肪制限食を食べてるよりも、高脂肪食を食べてた群の方が、心血管疾患が予防されたってPREDIMED試験の報告もあります。糖質制限食とエネルギー制限食の無作為試験に於いても、血中脂質プロファイルを改善したのは、脂肪摂取の多い糖質制限食だったとの報告もあります。

 つまり、脂質を食べなさ過ぎによる心血管疾患発症のリスクを心配する方が大事で、脂質過剰摂取を恐れる必要なんてないんですね。

 

Q2.糖質制限食の安全なエネルギー比率ってありますか?

A2.そもそも、適正な或いは安全な糖質摂取の下限なんてものは、ない!

 適正或いは安全な三大栄養素エネルギー比率なんて、そもそも分かってないんですから、考えるだけ時間の無駄ってものです。

 私達は、子供の頃からバランスの良い食生活と言う概念を刷り込まれ、食事摂取基準では三大栄養素エネルギー比率についての目標量が示されています。蛋白質は14~20%(49歳までは13~20%、50~64歳14~20%、65歳以上15~20%)、脂質20~30%、炭水化物50~65%です。しかしながら、この比率の設定に至る経緯が、正に好い加減(笑)。ちょっとこの呆れた経緯を説明しましょう。

 この比率の設定に当たり、「蛋白質の目標量(範囲)を初めに定め…脂質の目標量(上限)を算定し…脂質の目標量(下限)を算定し、これ等の合計摂取量の残余を炭水化物の目標量(範囲)を算定した」んだそうです。平たく言えば、必須アミノ酸や必須脂肪酸ってものがあるので、先ず、蛋白質と脂質の必要量(下限)を確保して、その上で余った分を炭水化物の目標量にしたって事です。

 じゃあ、蛋白質の目標量(上限)は、どう決めたのでしょうか? 「メタ・アナリシスでは、35%エネルギー未満ではあれば腎機能を低下させる事はないだろうと結論している。…以上より、耐容上限値は設定しない事とした」との記載があり、20%と言う数値を設定した根拠は、「20~23%前後の蛋白質摂取については、検討すべき課題が残されているとしたメタ・アナリシスがある」からなんだそうです。笑っちゃうような事なかれ主義ですが、脂質の目標値(上限)はどうかと言えば、「飽和脂肪酸の目標量(上限)を算定し、それを参照して脂質の目標量(上限)を算定した」とあります。じゃあ、飽和脂肪酸の目標量(上限)はどうやって定めたかって言いますと、「既存の研究結果を基に目標値(上限)を算定する事は困難である。そこで日本人が現在摂取している飽和脂肪酸量を測定し、その中央値をもって目標量(上限)とすることにした」んだそうです。 蛋白質についても脂質についても、まあ、読んでみればビックリの、全く科学的な根拠なく上限値が決められているんですね。ですから、そのお余りであるところの糖質の下限についても、科学的に設定なされてないって事になります。まあ、そもそも、必須糖質なんて存在しませんしね。適正或いは安全な糖質摂取(美容通信2011年4月号)の下限なんてものは、不明、若しくは存在しない!以上です。

 

Q3.飽和脂肪酸やω6系多価不飽和脂肪酸は、どれ位食べても大丈夫ですか?

A3.安全だと断言は出来ないけれど、でも、制限するだけの根拠もない…。

 飽和脂肪酸摂取と血中コレステロール濃度には正の相関があり、故に飽和脂肪酸は制限すべきとの仮説があります。しかしながら、食事摂取基準には下記の記載があります。「飽和脂肪酸摂取量と総死亡率、循環器疾患死亡率、循環器疾患死亡率、冠動脈疾患死亡率、冠動脈疾患発症率、脳梗塞発症率、Ⅱ型糖尿病発症率との関連を、コホート研究で検討した結果を統合したメタ・アナリシスでは、いずれも有意な関連は認められなかったと報告されている。…一方で、メタ・アナリシスによると、日本人は…飽和脂肪酸と摂取量と脳出血及び脳梗塞の発症(又は死亡)率の間には、負の相関関係が観察されている。」 って事は、私日本人に飽和脂肪酸摂取を制限する事は、寧ろ、脳血管疾患のリスクに繋がっちゃうのかも知れません。

 ω6系多価不飽和脂肪酸(美容通信2010年6月号)についてですが、食事摂取基準では、「ω6系多価不飽和脂肪酸が、冠動脈疾患の予防に役立つ可能性」について言及はされているものの、アラキドン酸カスケード(美容通信2007年3月号)の上流にある事から、炎症を介して却って動脈硬化症のリスクになるとも仮説があります。実際、飽和脂肪酸をω6系多価不飽和脂肪酸に置換すると言う介入試験で、心血管疾患や死亡率が上昇したとの報告もあります。唯、ω6系多価不飽和脂肪酸の上限を定めるには、未だ未だ科学的な根拠は不十分ってところでしょうか。

 

Q4.糖質制限食の効果って良く耳にするけど、実はエネルギー制限によるものじゃないの?

A4.血糖や脂質プロファイルへの効果は、糖質制限のお陰です。痩せたのは、エネルギー制限の賜物だけど。

 体重に対する効果は、確かにエネルギー制限の賜物以外の何物でもありません。が、血糖や脂質のプロファイルへの効果は、糖質制限食そのものの効果です。

 糖質制限食の有効性は、(結果として生じた!)エネルギー制限に由来する効果であるとの仮説があります。確かに、糖質制限食は食後血糖と血糖変動を抑制して飢餓感を減らすので、早食いとかドカ食いがなくなって、結果的にエネルギー摂取過剰が是正されるのは事実です。しかし、BMI18.5未満の集団では、糖質制限食により、体重は増加したにもかかわらず、HbA1c(美容通信2021年3月号)が改善したとの報告があります。血中脂質プロファイルの改善は、体重減量に先んじて現れます。つまり、糖質制限食指導により、その結果的に起こってしまったエネルギー摂取の減少の挙句に痩せる事はあっても、血糖や脂質プロファイルへの影響は、体重(エネルギー制限)とは全く関係のない、独立した糖質制限食そのものの結果なんです。

 

Q5.糖質制限をした分、蛋白質を沢山食べちゃっても問題はないのですか?

A5.蛋白質過剰摂取だからって、何ら不都合は起こらない。

 蛋白質過剰摂取を恐れる必要なんて、ありません。前述の様に、そもそも蛋白質摂取の上限に、科学的な根拠なんてないのですから。

 繰り返しになりますが、2013年のメタ・アナリシスには、「20~23%前後の蛋白質摂取については、検証すべき課題として残されている」とありますが、2018年のメタ・アナリシスでは、「35%エネルギー未満であれば、腎機能を低下させる事はないだろうと結論している。…以上より、耐容上限量は設定しない事にした」とあります。つまり、この検証すべき課題って奴を検証した結果が、35%エネルギー未満なら、蛋白質摂取過剰を恐れる必要がなかったって話。実際、Nielsenらは、2.1Kg/体重/日(エネルギー比率30%)の糖質制限食・高蛋白質食を摂ったところ、4期の腎症の進行が抑制されたとの報告をしています。他の報告でも、三大栄養素摂取比率;蛋白質25~30%(平均1.6g/Kg体重)、脂質40~45%、糖質(25~)30%程度の糖質制限食・高蛋白食の指導を行っても、eGFR(糸球体濾過量)の低下スピードは健常人と相違がなかったそうです。つまり、蛋白質の過剰摂取は心配ご無用って事なんですね。

 

Q6.糖質制限食は、いつまで続けて良いのか?

A6.医学的利益を享受出来てるんであれば、何時までも続けて良いし、続けるべき!

 「糖質制限を長期間行ってても、大丈夫?」って、懸念を呈する人達がいます。彼らが何を心配しているかと言いますと、大きく分けると3つ。

1)蛋白質の過剰摂取で、腎機能が起きるんじゃないか?→前述の通りで、確定的じゃない。

2)脂質過剰摂取で、動脈硬化症になるんじゃないの?→前述の通りで、確定的じゃない。

3)欧米の観察研究データでは、糖質摂取が少ない群で死亡率が高かった。つまりそんなものを長期に行っていれば、死亡率が上がるんじゃないの?→日本では、反対に糖質摂取が少ない群の方が、死亡率が低いんです。だから、長期的には死亡率が低下するかも?

 糖質制限食には、明確に食後血糖の改善効果があり、無作為化比較試験のメタ解析で、体重、脂質、血圧の改善効果も確認されています。メタボリックドミノに準じて考えると、糖質制限食は明確に抗加齢食の一つと言えます。医学的利益を享受出来てるんであれば、何時までも続けて良いし、続けるべき!

糖化対策

 食事中の終末糖化産物(AGEs)(美容通信2019年11月号)の7%が体内に吸収されて留まり、AGEsの多い揚げ物や加工品等の摂取は短命に繋がる…。糖化は、アンチエイジングの敵です。日常生活に於ける具体的な糖化対策について、まとめてみました。

 先ずは、AGEsの復習から。

 ブドウ糖や果糖等の単糖類は、蛋白質や脂質、核酸のアミノ基と非酵素的に反応して、シッフ塩基→アマドリ化合物を形成します(初期反応)。この反応は緩徐で、不可逆的な脱水、縮合反応を繰り返して、後期反応に至ると、臓器障害性の強い終末糖化産物(advanced glycation end products/AGEs)を形成します。AGEsは、血糖コントロールの程度とその持続期間により不可逆的に生体内で生成、蓄積され、一度形成されてしまうと、極めてゆっくりにしか代謝されません。

 AGEsは、細胞表面受容体であるRAGE(receptor for AGEs)によって認識され、酸化ストレスや炎症反応を引き起こし、広範囲な臓器障害を引き起こすだけでなく、RAGEの発現誘導と局所に於けるAGEsの産生亢進を介して、悪循環を加速的に強力に推し進めてしまいます。

 AGEsの生成、蓄積は、高血糖の他、加齢、炎症、酸化ストレスでも亢進する事が知られており、生体内の蛋白質や脂質の糖化は、それらの高次構造を変化させて、血管の硬化、骨質の劣化、しわやたるみ(美容通信2015年10月号)等の外見上の老化にも関わる事が報告されています。

 更に、煙草や食事に由来する外因性のAGEsの過剰摂取が、多岐に亘る老年疾患の発症のリスクを上げているようです。


 既に動物実験では、カロリー制限をしなくても、AGEs制限食を食べさせる事で、マウスの寿命が延びる事、そして、幾らカロリー制限を行っても、同時にAGEs制限を行わない限りは、寿命の延長効果が認められない事が分かっています。何をいつ、どのくらい、どう食べるかは、アンチエイジングを考える上で非常に大切な基本の考え方になります。

食事に由来するAGEsの寿命への影響

  食事に含まれるカルボキシメチルリジン等のAGEsは、一部体内に取り込まれ、約7%が生体内に残存します。血中カルボキシメチルリジンが高値な人ほど、糖尿病の有無に関わらず、①歩行スピードが遅い、②握力が弱い、③将来の心血管死や死亡のリスクが高い事が報告されています。また、AGEs値が、4年後の死亡率を予測する最も鋭敏なバイオマーカーになりうる事も、明らかにされています。つまり、食習慣の違いによって生じるAGEs摂取量の多寡が、老年兆候や寿命に影響を及ぼしているものと推測されます。

 AGEs値が、生活習慣の歪み(喫煙、運動不足、精神的ストレス、睡眠不足、朝食抜き、甘い物、加工品、揚げ物を多く摂etc.)によって影響を受ける事は知られていましたが、最近行われた大規模な住民調査によれば、魚介類、鶏肉を問わず、揚げ物を食べるとか加工品を多く摂る人の方が、短命!だったそうです。つまり、揚げ物や加工品を摂るという事は、AGEs摂取量の増加に繋がります。喫煙者に於いても、過去の喫煙歴が、禁煙後も非喫煙者に比して長期間に亘り、肺癌のリスクが高いまま推移しますが、AGEsは煙草からも吸収、蓄積され、これが関わっている可能性も考えられます。

 

何を食べ、何を食べないか

 AGEs制限食を食べると、血中の炎症・酸化ストレス・血管障害マーカー、コレステロール、AGEs値が低下し、アディポネクチンと長寿遺伝子が増え、糖尿病患者ではインスリン抵抗性が改善します。

 一般的に、肉製品や脂肪に富む食材を高温で揚げたり、焼いたりした際に、AGEsが多く生成される事が知られています。こう聞いて、ぱっと思い浮かぶのが、北海道名物のザンギ。様々な調味料(醤油や生姜、ニンニクetc.)で濃厚な味付けをした唐揚げの事で、北海道釧路市の「鳥松」が発祥とされています。一説には、中国語の「ザーギー(炸鶏)」(=鶏の唐揚げ)が由来とされ、「運がつくように」という意味から「ウン(ン)」を加えた「ザンギ」に落ち着いたのだとか。 他にも、中国語の「炸子鶏(ジャーズージー)」が訛って「ザンギ」になったとか、鶏肉を骨ごと切る(散切り)から「ザンギ」と名付けられた等々と、説は色々。しかし、こんがり香ばしくて食欲を誘うAGEsたっぷりの調理方法であるのは事実(笑)。これに対し、水分を多く使って長い時間をかけ、ゆっくりと蒸したり、茹でたりする調理法はAGEsを生成させ難いとされています。つまり、同じ鳥さんって食材でも、どう食べるか、食材をどう調理するかも重要なポイントになります。ファーストフードの類は、元来高カロリー、高脂肪で食材を高温で加熱調理したものが多く、努めて避けるべきです。また、ベーコンやハム等の加工品も、既に調理されたものを再加熱して食べる場合が殆どで、摂り過ぎには注意が必要です。

 AGEs化反応は、古くからメイラード反応(美容通信2011年4月号)、褐色反応として知られており、食欲をそそるこんがりキツネ色(⋈◍>◡<◍)。✧♡として脳みそに深くインプットされています。このこんがり色は、おおよそのAGEs含有量の目安とされています。ブドウ糖に比べ、果糖は約10倍AGEsを形成ます。異性化糖であるフルクトース・コーンシロップを多く含む炭酸飲料やフルーツジュース、蜂蜜、アガペシロップ、砂糖等による加藤の過剰摂取、褐色変化の著しい食品も避けた方が安全です。

 糖化反応は、酸性下で抑制されます。その為、レモンや酢で食材の下拵えをするだけで、加熱、調理の過程で生成されるAGEsを半分くらいに抑える事が出来るそうです。焼き肉も、頻回にひっくり返す事で、AGEs量を抑えられるそうです。医療用球形吸収炭のクレメジンや、高純度セルロース炭、キチン、キトサンには、AGEsの吸収を阻害すると考えられています。キチン、キトサンは、舞茸等のキノコ類、桜海老に多く含まれています。ゴボウやセロリ、海藻、舞茸等、食物繊維を多く含んだ食品やブロッコリー、スーパースプラウト、玉ねぎ等、スルフォラファンやケルセチンと言ったファイトケミカル(美容通信2010年8月号)(美容通信2019年11月号)を豊富に含んだ食品をバランス良く食べる事は、AGEsの形成や吸収の抑制に繋がると思われます。

 推奨される目安としては、1日の総AGEs摂取量を15000キロ単位以下、出来れば10000キロ単位以下とされています。

ビタミンCのアンチエイジング効果再考

 私達日本人の多くは、毎日の食事からビタミンCを十分に摂取していると思っています。しかし、ビタミンCは、オシッコからとっとと体外に排出され、また体内での消費量も多い為、消失し易い栄養素です。気を付けていないと、意外に、ビタミンC不足に陥ってる事もあります。ビタミンCが長期に亘ると、早死にしてしまう可能性があります。それが嫌なら、毎日、新鮮な野菜や果物から十分にビタミンCを摂らなくてはいけません。美味しく、アンチエイジング効果が期待出来ます!

生体内でのビタミンCの働きと欠乏症

 ビタミンC(L-アスコルビン酸)(美容通信2016年11月号)は、水溶性ビタミンの一種であり、スーパーオキシドアニオンラジカルやヒドロキシラジカル等の活性酸素種(美容通信2017年10月号)を消去します。また、皮膚や骨に多く存在するコラーゲン線維の構築、コレステロール等の脂質代謝、アドレナリン等のカテコールアミンの合成に重要な酵素の補因子として働きます。

 殆どの動物では、体内でビタミンCの合成が出来ますが、私達人間では、ビタミンC合成経路の最後に位置する酵素、L-グロのラクトン酸化酵素に遺伝子変異があるので、体内でビタミンCの合成が出来ません(美容通信2008年11月号)。ビタミンCを体内で合成出来ない動物は、私達人間の他に、サルやモルモット等の限られた動物達だけで、犬や猫、マウス等の大多数の動物達は体内でのビタミンCの合成が可能です。

 ビタミンCは水溶性の為、おしっこから排泄されやすく、体内から消失し易いのが特徴で、ビタミンCを摂らないと、不足、欠乏状態に陥ります(←すぐではありませんが!)。ビタミンCが欠乏すると、最初は皮膚が乾燥したり、脱力感、鬱症状が現れますが、高じて来ると、大腿部に大きな痣(内出血の跡)が現れ、更には、歯茎や消化管、粘膜等から出血し、死にます。大航海時代、恐れられた壊血病って奴です。壊血病の予防に尽力し表彰されたクック船長は、実際は、「壊血病の予防と治療には、柑橘類ではなく濃縮麦汁」という医師の言葉を信じて、全く効果のないものを推奨して、却って医学の進歩を妨げてしまったと言うのが正しい所なんですが…。

 

ビタミンC不足が長期に亘ると、早死にする。

 マウスはビタミンCを体内で合成出来るので、実験に使われるSMP30ノックアウトマウスは、ビタミンC合成経路の最後から2番目の酵素である、グルコノラクトナーゼ遺伝子を人為的に欠損させたマウス(上図・ビタミンC生合成経路参照)です。このノックアウトマウスは、私達人間と同様に、長期に亘ってビタミンCを摂らないと、壊血病で早々と死んでしまいます。

 このノックアウトマウスに、壊血病を発症しない最低ギリギリの量のビタミンCを含む餌を与えて飼育した群と、野生型マウスの寿命を比較しました。野生型マウスの50%生存率が約24ヶ月だったのに対し、ノックアウトマウスの50%生存率は、たったの1/4の、約6ヶ月でした。死因を特定する為に病理解剖を行っても、癌や炎症、特定の臓器疾患、壊血病の症状は認められなかったそうです。とっとと早死にしてしまった理由は、老化の原因の一つとして考えられている活性酸素種の、異常増加及びその蓄積によるものではないかと考えれています。実際、ビタミンC不足により、脳や様々な臓器で活性酸素種の増加が認められました。

 

私達の人間も、ビタミンCを2.5mg/日しか摂らないと早死にする。

 厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)によれば、1日のビタミンC推奨量を100mg(イチゴ5~6個相当)と策定しています。私達日本人が1日に必要なビタミンC量を100mgとし、これを100%ととすると、マウス換算!(笑)でですが、2.5%である2.5mgのビタミンCしか摂らない状況が長期に亘ると、早死します。と言っても、ビタミンCの体内蓄積量は可なりあるとされ、数日位なら全くビタミンCを食べなくても、直ぐに寿命が短くなるなんて事はありません。悪までも長期間って前提で、1日に2.5mgのビタミンCしか摂らない生活を3年続けると、ぼちぼち死人が出始め、約13年で、半数の人が死ぬって計算になります。尤もこれは、途中で1日でも2.5mgを超えるビタミンCを摂ってしまうと、この仮定は崩れてしまいます、が。

 

ビタミンCと身体機能との関連

 幾つかの調査によれば、血中ビタミンC濃度の高いおばあちゃん(高齢女性)は、筋力が高いとのデータがありますが、逆は有意な相関が得られてはいません。流石に、健康を害する前向き臨床試験は人間相手では実施が難しいので、「ごめんねネズミさん‼」と心で謝りつつ、ビタミン合成不全マウスを使って、ビタミンC投与群と非投与群で、筋重量(腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋等)を定期的に測定したところ、ビタミンCの不足期間が長くなるにつれ、筋肉を構成する筋線維が次第に細くなり、筋肉量も減少したそうです。そして、再びビタミンCを与えると、急速に回復したそうです。また、握力や全身の持久力、自発的活動量等で評価した身体能力についても、同様に、ビタミンCの不足期間が長くなるにつれ低下し、再びビタミンCの投与で回復したそうです。つまり、ビタミンCの不足は、筋肉の萎縮や身体能力の低下の原因となります。そして、非常に興味深い事ですが、ビタミンCの再投与で回復します。

ビタミンCの摂り方

 ビタミンCは、食品から摂るのがやっぱり一番理想的です。どうしてかって申しますと、体の機能を維持する為にはビタミンCは大事ですが、ビタミンCだけ満たされていればそれで十分かと言うと…決してそんな訳もなく、そう考えると、色んな栄養素が含有されている食べ物は、一石二鳥じゃない百鳥以上なんですね。唯、単純にビタミンCの吸収効率だけで考えると、食べ物で摂ろうと、ビタミンCを水に溶かして飲んでも、50mgのビタミンCは50mgのビタミンC。摂取後の経時的なビタミンC血中濃度の変化には、殆ど差がなかったって実験報告がなされています。

with コロナ時代の為の、COVID-19対策としてのビタミンD

 新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)感染によるCOVID-19のパンデミックを受け、withコロナ(コロナとの共生)となった現在、COVID-19(註:新型コロナウイルス感染による症状の名称。コロナウイルス(Coronavirus)と病気(Disease)の短縮形に、感染が報告され始めた2019年を組み合わせ、2020年2月11日に世界保健機関(WHO)が命名した)対策としての栄養療法が注目されています。ご親戚関係のSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)では、取り敢えずの封じ込め作戦が成功しましたが、COVID-19は、既に感染が世界規模で拡大しており、不顕性感染の問題等、ウィルスの性格?性質?を考えると…、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の根絶や封じ込めは難しく、今後も、局所的な流行が、散発的に継続すると考えられています。治療薬については、副作用のリスクや薬剤耐性ウィルスの発生と言った課題があり、また、ワクチンについても、接種の優先順位や安定供給、副反応等の課題の他、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)がRNAウィルスであり、変位種が生じやすいと言った問題も想定されています。

 COVID-19対策としては、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)に出くわさないで!と言うのは難しいので…せめて暴露機会を減らす事と同時に、もし万が一出くわしてしまっても、奴らが憑り付く隙もない…つまり私達の感染に対する抵抗性(美容通信2021年10月号を高めておく事も大切です。ビタミンやミネラルと言った必須栄養素の摂取は、生体機能に於ける免疫の維持に、必須栄養素だけに必須です!

 中でも、ビタミンD(美容通信2013年3月号)は、一番の注目株。免疫賦活作用や抗炎症作用を有しており、先行研究では、ビタミンD低値と呼吸器感染症リスクの上昇との間に有意な相関関係が認められています。また、ビタミンDサプリメントの投与によるインフルエンザ罹患率の低下、上気道感染症リスク低下作用も報告されています。COVID-19の高リスクとなる基礎疾患の有病者では、ビタミンD低値も指摘されています。

 既に、COVID-19のリスクとビタミンDとの関連が検証され、COVID-19の罹患率や死亡率、重症度と、ビタミンD値との間に有意な負の相関があり、また、COVID-19の予後不良群ではビタミンD低値が認められています。これを受けて、英国の国民保健サービス(NHS)(日本の厚生労働省の様なお役所)では、ステイホームの代償としての、(紫外線を浴びる機会が減った為に)皮膚でのビタミンDの生合成低下を補う為に、サプリメントを飲もう!と啓蒙しています。

 COVID-19が重症化には、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)による、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を介した血管内皮障害や血栓の形成による微小循環不全が関与していると考えられています。ビタミンDは、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の調節因子であり、新型コロナウィルスが肺胞上皮細胞のACE2に結合して悪さを仕掛けるのを阻止しますから、症状が重症化するのを抑えるものと思われます。

 

ビタミンDの多彩な作用

 ビタミンDには、キノコ類等の植物由来のビタミンD2(エルゴカルシフェノール)と、魚類等の動物由来のビタミンD3(コレカルシフェロール)の2つがあります。

 ビタミンDは、カルシウム代謝や骨形成の働きだけでなく、細胞の分化や増殖、免疫調節、アポトーシスの制御、炎症、発癌と言った多岐に亘る生体機能の調節に関与しています。その為、ビタミンDの受容体は、小腸や骨、腎臓、副甲状腺等のカルシウム代謝に関係する臓器だけでなく、皮膚、脳、筋肉、肝臓、腎臓、免疫系細胞(単球、マクロファージ、抗原提示細胞、活性化T細胞等)と言った、あらゆる臓器組織で発現が認められます。

 

ビタミンDと呼吸器感染症

 ビタミンDは、ウィルス性呼吸器感染症に対する自然免疫系の調節に於いて、重要な働きをしています。

 14108人を対象にした米国での横断研究によると、ビタミンD欠乏があると、急性ウィルス性呼吸器感染症の罹患リスクが上がったそうです。他にも、ビタミンD低値と呼吸器感染症リスク上昇に有意な相関関係を認めたと言う報告や、観察研究のメタ解析でも、市中肺炎リスクとビタミンD低値に有意な相関が見出されています。

■ビタミンDをサプリメントで摂る。

 先行研究に於いて、ビタミンDの欠乏をサプリメントで補ったところ、急性ウィルス性呼吸器感染症のリスク低減作用が認められました。特に、リスク低減作用は、ビタミンD欠乏や不足状態が著しい患者に於いて、より著明に認められたそうです。

  • 長期療養施設の高齢者107人を対象にした米国の臨床試験では、高用量のビタミンD投与群(ビタミンD3を100,000IU/月投与:55人)と、標準量の投与群(12,000U/月投与:52人)を比較したところ、高用量投与群では急性呼吸器感染症の罹患率が有意に低下しました。
  • 東京慈恵会医科大学のグループによる臨床試験では、学童期の小児に対し、1,200UのビタミンDサプリメントを投与しただけで、季節性インフルエンザ(A型)の発症リスクが42%減少しました。
  • 中国の多施設共同ランダム化比較試験(2018年)では、乳幼児にビタミンD(1,200U)を投与したところ、早期から症状の回復、ウィルス量の速やかな減少が認められました。
  • ベトナムの臨床試験(2019年)でも、ビタミンDサプリメント投与により、インフルエンザを含むウィルス性呼吸器感染症の罹患リスクが19%と有意に減少したそうです。

 

ビタミンDとCOVID-19

 COVID-19では、炎症惹起サイトカイン類の産生亢進、CRP亢進が認められ、肺炎、急性呼吸窮迫症候群、心不全、敗血症のリスクが上がります。

 COVID-19の罹患リスク及び重症化リスクが高い因子としては、心血管疾患、慢性呼吸器疾患、糖尿病、高血圧、肥満が有名ですが、これ等の病気を患っている人達の多くは、ビタミンDが不足したり欠乏しています。COVID-19のパンデミックが最も深刻であった中国やイタリアの地域は、大気汚染が深刻なエリアでもあり、紫外線による皮膚でのビタミンDの生合成がベースにあったかも知れません。また、COVID-19の高リスク群である高齢者では、皮膚でのビタミンD生合成能が低下している事も関与しているかも知れません。

■ビタミンD低値だと、ロクな事は起こらない!

【COVID-19での高リスク群は、皆ビタミンD低値だった】

 COVID-19での臨床所見や死亡リスクに関連する疾患や病態と、ビタミンDの血中濃度には相関があります。論文を幾つか列挙します。

  • 観察研究のメタ解析によると、市中肺炎リスクとビタミンD低値との相関が認められました。(Medicine(Baltimore), 2019)
  • フィンランドの高齢者を対象にした横断研究によると、ビタミンDの低値群は、高値群の2.6倍の肺炎罹患率だった。
  • 中国に於いて、高齢者での市中肺炎リスクは、ビタミンD低値と相関が認められました。
  • 米国の観察研究では、重症患者でのARDS発症リスクが、入院前のビタミンD低値と相関を認めました。
  • イギリスでの観察研究では、ARDSリスクとビタミンD低値が相関していたそうです。
  • その他、COVID-19感染時の臨床所見や発症リスクに関連する疾患・病態と、ビタミンD低値との有意な関連が報告されています。

【ビタミンD低値は、COVID-19罹患の危険因子

 ビタミンD低値は、COVID-19の感染リスクや重症化リスクを高めます。ヨーロッパ20か国での横断研究では、ビタミンD値とCOVID-19の罹患率、死亡率との間に、有意な負の相関が見出されました。特に、スペイン、イタリア、スイスでは、高齢者に於いてビタミンD低値が著明だったそうです。

 COVID-19検査前の1年以内にビタミンD値を検査した489人を対象にした米国のコンフォート研究では、71人がCOVID-19陽性で、ビタミンD欠乏群でのCOVID-19陽性の相対リスクは、ビタミンD充足群に比べて1.77倍と有意に高値だったそうです。

【ビタミンD低値だと、予後不良になる】

 英国での研究によると、ビタミンD欠乏では、COVID-19の重症化のリスクが高いとされています。COVID-19感染による入院患者134人を対象に、入院時の血中ビタミンD[25(OH)D]とCOVID-19の重症度の関連を調べたところ、ビタミンDが50nmol/L以上と充足していた患者さんの割合は、一般病棟の患者では39.1%でしたが、集中治療室では19%と、有意に低い値でした。

 幾つかの報告によれば、ビタミンD値と、COVID-19の重症度や予後との関係が検証された結果、予後良好の患者さんに比して、予後不良の患者さんのビタミンD値は有意に低値だったそうです。

 インドネシア研究では、COVID-19患者780人の死亡率とビタミンD値との関連が検証された結果、死亡率は、ビタミンD充足群4.1%に対し、ビタミンD欠乏群は98.9%だったそうです。

■レニン-アンジオテンシン系(RAS)での、ビタミンDによるCOVID-19重症化抑制機序

【ビタミンDによるCOVID-19の重症化抑制】

 COVID-19の重症化例では、ARDSや全身性炎症反応症候群が認められます。重症化の機序としては、当初、新型コロナウィルス感染に於ける免疫の過剰反応によるサイトカイン・ストームの関与が注目されました。しかし、その後、COVID-19重症患者のIL-6抗体等の濃度は、ARDSや敗血症よりも低い事が判明し、また、抗IL-6抗体単独では、重症例の改善には不十分である事も明らかになり、現在では、COVID-19重症化の機序としては、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)抑制を介した、血管内皮障害と血栓形成による微小循環不全があり、血栓症から多臓器不全に陥ったのではないかと考えられています。ビタミンDは、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の調節因子であり、新型コロナウィルスが肺胞上皮細胞のACE2に結合して悪さを仕掛けるのを阻止しますから、症状が重症化するのを抑えるものと考えられています。基礎研究では、間質性肺炎モデルに於いて、ビタミンD投与で、肺炎抑制やサイトカイン産生抑制作用が示されています。

【COVID-19の重症化の機序

 ビタミンD不足でのCOVID-19の重症化や予後不良の機序として、レニン-アンジオテンシン系(RAS)に於けるビタミンDの働きが推察されています。

 気道の細胞表面に存在するアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に接着した新型コロナウィルスは、エンドゾームで取り込まれ、そこで膜と融合してRNAを注入する=感染が成立します。ACE2は、新型コロナウィルスの機能的受容体、まあ、端的言えば、ウィルスにつけ込まれやすい性格の持ち主です。ACE2は、心臓、腎臓、腸、血管内皮細胞の他、肺(Ⅱ型肺胞上皮細胞とマクロファージ)だけでなく、粘膜にも発現しているので、ここが新型コロナウィルスの最初の人体への突破口になりうる可能性があります。

 アンジオテンシンⅡは炎症を惹起し、酸化ストレスを亢進し、急性肺損傷を増悪させます。ACE2はこ奴を分解して、炎症を宥める働きがあります。ですから、新型コロナウィルスに感染してACE2の働きが削がれてしまうと、肺や心血管系での病態が悪化し、COVID-19の重症化に繋がってしまいます。

【ビタミンDによる、COVID-19重症化抑制の機序】

 ビタミンDは、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の重要な調節因子であり、COVID-19の重症化リスク軽減に作用します。

 新型コロナウィルスに憑り付かれたACE2は萎えてしまうので、ACE2/ACE活性比が変化して、ACEの活性が亢進してします。ACEは、ACE2と構造は似通っていますが全く別物で、不活性体であるアンジオテンシンI を、生理活性を持つアンジオテンシンIIに変換する反応を触媒する酵素です。アンジオテンシンⅡには、前述の通り、炎症惹起作用や血管収縮作用がありますから、新型コロナウィルスによって、アンジオテンシンⅡに野放図に好き放題を許してしまう様な事態が起こると、肺や心血管系での病態が一気に悪化し、COVID-19の重症化へと突き進んでしまいます。

 ビタミンDは、ACE2の発現を強力に後押しし、ACEを介したアンジオテンシンⅡの産生を阻止します。更には、レニン活性を阻害して、アンジオテンシンⅡ自体を減らします。つまり、ビタミンDの投与によって、新型コロナウィルスが肺胞上皮細胞のACE2受容体に接着する事に端を発した、ACE2活性の低下、ACE活性の上昇、アンジオテンシンⅡ産生量の増加と言ったロクでもない負のドミノ倒しを堰き止めて、肺血管が攣縮するのを防いで、COVID-19の重症化リスクが下がります。

【COVID-19重症化とRAS阻害薬の関係】

 ちょっと前までは、ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(Angiotensin II Receptor Blocker, ARB)は、ACE2の発現を増加させて、新型コロナウィルス感染を増悪させるのではないかとの懸念から、COVID-19の治療の際に、これ等の降圧剤を使用しない方が良いのではないかと意見もありましたが、現在時点のエビデンスを俯瞰して、中止の必要がないとされています。それどころか、寧ろ、重症化予防が期待されています。

 動物実験では、ARBによるACE2発現の増加が示唆されています。新型コロナウィルス感染では、ACE2がダウンレグレーションされる事で、急性の肺損傷が生じます。って事は、ARBを飲んでACE2発現が増加するのであれば、新型コロナウィルス感染に対して保護的に働いてくれるんじゃないの?って、淡い以上の期待を抱いてしまいます。

 理論的には、アンジオテンシンⅡ受容体の阻害は、COVID-19の重症化予防に有用だと考えられています。COVID-19で入院した高血圧の持病持ちの患者さんの死亡率を、ACE阻害薬/ARBの服用の有無で検証したところ、服用群は非服用群と比べて、全死亡リスクの有意な低下が認められたとの報告があります。

 

ビタミンDの不足は、世界的な課題

■ビタミンDの判定基準

 ビタミンDの不足や欠乏と言った栄養状態の評価は、血中25-ヒドロキシビタミンD濃度25(OH)Dにより行います。不足や欠乏では、血中カルシウム濃度は正常範囲に維持されていますが、血中25(OH)Dの低下があり、PTH値は正常範囲の上限付近若しくは、やや上昇している状態です。因みに、良く誤解されやすい物に1.25(OH)2Dは、カルシウム代謝を調節するホルモンであり、血中濃度は一定に保たれています。

  • ~20ng/dl:重症な欠乏症。

   ~10ng/ml⇒お話にもならない。 ~15ng/ml⇒くる病のリスク増加。 ~20ng/ml⇒大腸癌の発病リスクが75%増加。

  • 20~30ng/ml:所謂、欠乏症。

   骨破壊が進行、骨粗鬆症進行。傷の治りが悪い。筋痛の他、関節痛、腰痛、鬱、統合失調症、糖尿病、偏頭痛、自己免疫疾患、アレルギー、子癇等のロクでもない事の発症率が増える。

  • 30~50ng/ml:取り敢えずは、欠乏症とは言わないだけの値で、別名、正常値とも言う。

   ~34ng/ml⇒心筋梗塞の発症率が2倍に増加。 ~36ng/ml⇒高血圧の発症率が上がる。 ~40ng/ml⇒多発性硬化症の発症率が3倍に増加します。

  • 50~80ng/ml:健康の為にって意味で推奨される、理想的な値。至適値。

   病気のリスクが最小限になるのが、この範囲内とされています。50ng/ml~⇒乳癌の発生率が1/2に減少。固形癌の発症率が低下します。

  • 80~100ng/ml:癌患者の、癌の成長速度が遅くなる。
  • 100ng/ml~:ビタミンD中毒症状の発生率が上がります。つまり、過剰!って事です。
  • 150ng/dl~:毒性有!

■ビタミンD不足は世界的な課題

 ビタミンDの状態と推奨ガイドラインに関するレビューによると、ビタミンDの不足は世界的な傾向であり、食品へのビタミンDの強制添加が合理的な解決策と記載されています。

 近年の調査研究によれば、高齢者の半数が、血中25(OH)D濃度が20ng/ml未満のビタミンD欠乏状態で、骨密度の低下や骨折率の増加が認められています。特に日本の高齢女子は、ビタミンDの不足が著明とされています。若い女子でも、高率に不足や欠乏があったそうです。

 高齢者がビタミンD不足に陥りやすい理由としては、

  • 表皮のプロビタミン濃度が低下し、若者と比べて、皮膚でのビタミンD合成能が激減してしまっている。
  • 屋内で過ごす時間が長い。
  • ビタミンD自体の摂取量が不足しがち。 等々が挙げられます。

 

ビタミンDの摂取

■ビタミンDの食事摂取基準:日本と米国の比較

 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、ビタミンDの推奨量が、従来の5.5μ/日から8.5μgに引き上げられました。しかし、これは、米国での基準のの半分以下の水準に過ぎません。また、日本では大人の基準は一律になっていますが、米国では前述の様に高齢者がビタミンD不足に陥りやすい現状を踏まえ、シニア世代以降の摂取基準を、日本の2倍以上に高く設定しています。

■ビタミンDのサプリメントを利用する

 若者の食生活の変化、日光UVB暴露による人体への悪影響(免疫能の低下、白内障、皮膚癌や紅斑等の皮膚障害)等を考えると、適切な食事をお役所が旗振って啓蒙するだけでは、実際問題として解決には程遠く(笑)、課題解決型アプローチとしては、サプリメントの適正使用が望ましいと思われます。

 ビタミンDサプリメントの成分は、医療用医薬品の活性型ビタミンD剤ではなく、その前駆体であるビタミンD3(コレカルシフェロール)です。我が国で市販されているビタミンDのサプリメントの大半はビタミンD3ですが、全てではなく、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)を成分とするサプリメントも販売されているので、要注意! 

 ビタミンDサプリメントの摂取量は、1日当たり2000IUまでは、一般に、問題となる副作用や有害事象は認められていません。

 高齢者では、前述の通り、皮膚でのビタミンD合成能の低下、(熱中症予防等の為の)外出頻度の減少、小食及び消化吸収能の低下等の為に、ビタミンDの欠乏や不足が高率に認められています。英国の地域居住高齢者を対象にしたRCTでは、ビタミンDサプリメント4000IUと2000IUの比較に於いて、4000IUに軍配が上がったそうです。

海藻を見直す

 食事による高血圧のリスク軽減を目的として考案されたDietary Approaches to Stop Hypertension(DASH)食は、野菜や全粒穀物、魚、豆類等を主な食材に用いた低カロリー食です。心臓病、糖尿病、癌等の生活習慣病の予防にも効果的とされており、ナトリウムや糖分、脂肪分が少なく、カルシウム、蛋白質、食物繊維が多いのが特徴です。海藻は、このDASH食と栄養特性が一致しており、ヨーロッパを中心に生活習慣病の予防食として人気急上昇中。

海藻の栄養素

 海藻の主な栄養成分は、食物繊維とミネラル。海藻の種類によってその成分量は違いはありますが、食物繊維含有量は乾物重量に換算して、少ない物でも約30%で、多い物だと60%を超えるそうです。海藻に含まれる食物繊維の栄養機能は、種類によっても多少の違いはあっても、主に腸管で効力を発揮し、様々な腸の病気の予防・改善、脂質・糖代謝の改善に働きます。多くの海藻では、約20%のミネラルが含有されていますが、ミネラル成分として最も多いのがカリウム、次いでナトリウム、カルシウム、マグネシウムと続きます。私達の体の組織を維持する為にはミネラル成分は必須ですが、過剰な摂取は障害を引き起こします。時に問題となるのが、ナトリウム過多で、高血圧のリスク要因となります。カリウムは、浸透圧の調節、酸-塩基平衡、心臓機能や筋肉機能の調節に関与するだけでなく、ナトリウムと拮抗する事で、ナトリウムの過剰摂取に起因する高血圧や脳卒中を予防する効果があります。更には、カリウムは、ナトリウムや他の旨味成分と一緒になると、単なる塩っ辛いが、ぐぐぐっと深みのある塩味に昇華します。その為、ヨーロッパ等では、肉製品等に添加する事で、食塩の使用量を減らす試みが行われています。

 海藻中の蛋白質含有量は、乾燥重量当たり10%~40%超と幅広く、特に蛋白質の含有量が多いのが海苔で、約40%の蛋白質を含んでいます。アミノ酸スコアをみると、海苔は91、昆布82、ワカメ100と、超優秀なんです。確かに、卵や乳製品、肉等は蛋白質のアミノ酸組成のバランスが良く、殆どが100ですが、脂質も多く高カロリーなのが欠点です。海藻と同じく食物繊維やミネラルが豊富にも拘らず、総カロリーが低いお野菜達ですが、残念ながらアミノ酸スコアは50点台と冴えない。

 海藻に含まれる脂質は約4%で、その組成を見ると、ω3脂肪酸のEPA(美容通信2006年10月号)とω6脂肪酸のアラキドン酸の両方を多く含み、この様に両者を多く含有する生物って珍しいんです。海藻脂質には、脂肪酸以外にステロール類や脂溶性色素も多く含まれています。色素では、ワカメや昆布等に含まれるフコキサンチンは、多くの生理機能を有している事が知られており、細胞のエネルギー代謝に関わる生体因子(脱共役蛋白質Ⅰ(UCPⅠ)とミトコンドリア)(美容通信2017年4月号)(美容通信2017年7月号)を活性化する事で、過剰に蓄積した脂肪を分解し、分解エネルギーを体熱として発散させたり、血糖値改善作用、抗炎症作用、抗癌作用等が報告されています。

 

海藻の利用

 海藻に含まれる食物繊維、ミネラル、フコキサンチン等の栄養成分の機能性が注目される一方、ヨウ素の過剰摂取や砒素、重金属の存在と言ったリスク要因も指摘されています。

 ヨーロッパでは、21種類の海藻を通常の野菜や調味料と同様に扱う為の規定が定められており、食用に供する海藻中の各栄養素の摂取基準と、ヒ素、重金属等の有害成分の上限含量等も明確にされています。同時に、食用海藻や海藻サラダ等の食品中のヒ素や重金属等の積極的な分析も行われています。日本では、食用海藻の科学的な分析はヨーロッパよりも遥かに遅れており、データに基づいた正しい利用法について検討がなされる事が望ましいとされています。

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